有料職業紹介について知っておきたいこと

人材派遣を利用するとき、派遣労働者を受け入れる方法もありますが、「有料職業紹介制度」を利用して、労働者を紹介してもらう方法もあります。派遣と有料職業紹介は、何が異なるのでしょうか?

有料職業紹介とは

有料職業紹介とは、紹介業者が労働者を探している事業者に対して適当な労働者を紹介し、紹介を受けた企業は紹介手数料を支払うというものです。
たとえば、ITのスペシャリストを探している企業が要件を満たすSEなどの人材紹介を受けたり、金融関係のスペシャリストを探している企業が有能なファンドマネジャーの紹介を受けたりできます。
有料職業紹介業を行う業者は厚生労働大臣による許可を受けています。

手数料の上限について

有料職業紹介を利用すると、労働者の紹介をする紹介業者に対して、紹介手数料を支払う必要がありますが、その金額には法律上の上限が定められています。
原則的に、紹介された労働者の賃金総額の10.8%が上限です。労働者が6か月間以上雇用され続けた場合には、6か月分の賃金の10.8%が上限となります。この計算方法を「上限制手数料」と言います。
また、届出をすると労働者の年収の50%を超えない範囲で紹介料を定めることができます。実際には労働者の年収の10%から30%程度とするケースが多いです。この方法を「届出制手数料」と言います。

手数料は紹介先の企業が支払う必要があり、一部の例外を除いて求職者自身に支払わせることはできません。

労働者派遣業との違い

有料職業紹介と労働者派遣は似ているので混同される方も多いのですが、全く異なる制度です。以下で具体的な違いをみてみましょう。

雇用等について

雇用関係

有料職業紹介の場合、受け入れ先の企業と労働者との間に直接雇用関係が発生します。そこで、労働基準法を始めとしたさまざまな法規制は紹介を受けた企業に対して及びます。これに対し、派遣業の場合には、派遣元の会社が労働者の雇用者となるので、派遣先の企業と労働者との間に雇用関係が発生しません。

賃金支払い

有料職業紹介の場合には、紹介を受けた企業が労働者に直接賃金を支払わないといけません。紹介先の企業と労働者との間に雇用関係が発生するからです。
これに対し、派遣の場合には、派遣元の企業が労働者に対して賃金を支払うので、派遣先企業は労働者に賃金を支払いません。

社会保険加入

有料職業紹介の場合には、紹介を受けた企業が労働者を雇い入れるので、労働者の雇用保険や労災保険、各種の社会保険などに加入する必要があります。
これに対し、派遣業の場合には派遣元の企業が労働者の雇用者となるので、派遣先の企業にはこうした負担がかかりません。

手数料について

有料職業紹介の場合、紹介先の企業は紹介業者に対して1回分の紹介手数料を支払います。これについては上記の通り法律上の上限があります。
これに対し労働者派遣の場合には、派遣先の企業は毎月派遣業者に対して派遣料を支払う必要があります。派遣料は、派遣元から労働者に支払われる賃金や社会保険などの料金に派遣業者の利益を足したものとなるので、派遣先が自社で直接雇用するより高額になります。

以上のように、有料職業紹介の場合、受け入れ企業と労働者と直接の雇用関係が生じるので社会保険等の負担が発生します。ただし、派遣手数料がかからず1回分の手数料を支払えば終了するので長期的に見ると金額を安く抑えられる可能性があります。三者間の契約にならないので複雑な法律関係も発生しません。

有料職業紹介ができない職業

有料職業紹介は、以下の2種類の職業については認められていません。
 港湾運送業務(船内荷役やはしけ運送業務など)
 建設業務(土木や建築、解体業務など)

これら以外の職業については、基本的に有料職業紹介の対象になります。

なお、派遣業にも、以下の通り禁止されている職業があります。
 港湾運送業務 
 建設業務 
 警備業法にもとづく業務 (事務所で盗難等の事件を警戒したり防止したりする業務)
 病院等における医療関連業務(ただし、紹介予定派遣など一定のケースでは医療関連業務の派遣も認められる)
派遣業の方が有料職業紹介業よりも禁止業務の範囲が広くなっています。

有料職業紹介に向いている職業

有料職業紹介は上記以外の職種であればどのような職業でも可能ですが、特に向いているのは、比較的専門的な業種です。専門職の場合、自社で適当な人材を探すのが難しくなりがちだからです。また、新卒採用の代行などを依頼するのも効果的です。
具体的には、以下のような労働者の紹介を受けたいときなどに利用すると良いでしょう。
 IT関係の専門家
 電気・電子・機械・化学などのスペシャリスト
 医療系のスペシャリスト
 営業やマーケティングのスペシャリスト
 金融や不動産のスペシャリスト
 管理・オフィスの専門家
 新卒の採用代行
 各業種のヘッドハンティング

人材派遣を受けたいときには、有料職業紹介も有効な選択肢となります。今後の参考にしてみてください。

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